小説の名残

前に読んでていた本の感想や
読み終わってすぐの小説の感想などを書いて行きたいと思います。

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2012.08.17 Friday

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四日間の奇跡

2010.04.27 Tuesday 23:03
評価:
浅倉 卓弥
宝島社
¥ 725
(2004-01)

JUGEMテーマ:小説全般

 小説を買い始めるきっかけになった本です。

僕の本の選び方は結構独特で
周りに同じ選び方をしてる人が少ないんですけど。
その選び方になったのもこの四日間の奇跡という本の影響が大きいです。

父が本が好きで、その本棚に偶然タイトルと表紙を見て惹かれたんです。

本当に不思議な縁で読み始めました。
この本がなければ本の世界にのめりこむことはなかったかもしれませんし。
このブログを作ろうと思うこともなかったと思います。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

四日間の奇跡は、第一回『このミステリーがすごい!』大賞・大賞金賞受賞作として売り出されました。
読み始めた当初は何にも知らなかったんですけどね。

主人公、如月敬輔と楠本千織の話です。

千織は自閉症という障害を持っていて、それがかなり上手に描かれているように感じます。
サヴァン症候群というのも最近では知られるようになってきましたが。
この当時はどうだったんでしょう?あまりそのころの福祉の知識はありません。

前半部分では、心穏やかに話が進むんです。
敬輔はもともとピアノ一筋で生きてきた人間です。
それは母親による影響が強かったのですが、そのおかげもあり
ピアノ界では当時多くの賞を総なめしていたようです。
そのかいもあり、彼はオーストリアに修行に行くことまでできました。

千織は自閉症ですが、サヴァン症候群により音を聞き分ける力が秀でていました。
ただ、コミュニケーションをとるのがすごく苦手で、極度の人見知りです。

そんな二人をつないだのがオーストリアで起こったある事件です。
その時敬輔は自分の薬指を失くすのですが
それが二人をつなげるきっかけになります。

そんな二人はボランティアを行っていました。
そして、とある施設に行ったときに岩村真理子に出会います。

三人は急速に仲を深めていきます。
その過程が本当に穏やかで、心休まるんです。
正直に癒されました。
このまま千織が回復していくのを祈ってしまうくらいに。
結果を知ってからは事件など起こらないように。
俺は流れ星に祈りをささげてしまいます。

しかし、そこの施設で事故が起こり、千織と真理子はその事故に巻き込まれます。
真理子の体は死ぬ寸前です。
千織は真理子にかばわれたため、かすり傷程度で済んだのです。
目覚めた千織は状況が少し違いました。

そして、敬輔に自分は真理子であると告げるのです。

ここから物語は大きく展開していきます。

なぜ私はこんなことに――――
知りたくもない感情をなぜ知らなければ――――

真理子は家族がほしかった。
昔自分が持っていた家族というものが今はない孤独。
しかし、本当は孤独ではないのです。
人間は孤独じゃない。
たとえ自分が独りなんだ。孤独なんだと感じていても、自分の周りには確実誰かいる。
支えになる人が必ずいる。

それは恋人でも友達でも家族でもなんでもないかもしれない。
でも、必ずいるんだ。

そう思わせてくれる小説でした。
俺の中でこの小説はハッピーエンドでした。
人によってはそうじゃないと思う人もいると思います。
でも、最後に真理子は気付き、知り、理解し、そして逝けたんです。

これはやっぱりハッピーエンドです。
形は少し違うかもしれませんけどね。

辛いけど、すっきりします。
俺の原点はここだと思ってます。今でも読んだら泣くと思う。

浅倉卓弥 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |